標準液校正を行う

◆pH計の校正
ガラス電極における実際の「pH当たりの起電力」は、ガラス膜の汚れや強アルカリ性における「アルカリ誤差」、 強酸性における「酸誤差」などの影響を受けることにより理論値(59.16mV@25℃)よりも低い値を示すことが一般的です。

「pH7の起電力」も同様に理論値(0mV)からの誤差が発生します。

したがって、精度の高いpH測定を行うためには測定前にpH標準液による校正が必要です。
また、連続した測定を行う場合も溶液中の汚れなどによって電極特性が徐々に変化しますので定期的に校正する必要があります。

◆校正方式
YUSB-01PHでは2種類又は1種類のpH標準液の測定値から検量線を描き、 「pH当たりの起電力」および「pH7の起電力」を計算から求めます。
このとき、測定値は溶液温度により温度補償が行われます。

  • 2点校正

    2種類のpH標準液を使用した校正を「2点校正」と呼んでいます。
    この方式では、「pH当たりの起電力」および「pH7の起電力」の両方を校正することが出来るため、 pH値が大きく変化する測定に適しています。

    2点校正の手順


  • 1点校正

    1種類のpH標準液を使用した校正を「1点校正」と呼んでいます。
    この方式では、「pH7の起電力」のみの校正となり、簡易的な校正が行えます

    1点校正の手順

◆pH標準液
YUSB-01PHでは以下の5種類のpH標準液が使用でき、それぞれ温度補償データを保持しています。

温度

しょう酸塩
JIS K 0018
フタル酸塩
JIS K 0019
中性りん酸塩
JIS K 0020
ほう酸塩
JIS K 0021
炭酸塩
JIS K 0022
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
70
80
90
95
1.67
1.67
1.67
1.67
1.68
1.68
1.68
1.69
1.69
1.70
1.71
1.72
1.72
1.74
1.77
1.79
1.81
4.00
4.00
4.00
4.00
4.00
4.01
4.02
4.02
4.04
4.05
4.06
4.08
4.09
4.13
4.16
4.20
4.23
6.98
6.95
6.92
6.90
6.88
6.86
6.85
6.84
6.84
6.83
6.83
6.83
6.84
6.84
6.86
6.88
6.89
9.46
9.40
9.33
9.28
9.22
9.18
9.14
9.10
9.07
9.04
9.01
8.98
8.96
8.92
8.88
8.85
8.83
10.32
10.24
10.18
10.12
10.06
10.01
9.97
9.92
9.89
9.86
9.83
--
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  pH標準液の調製

以下ではYUSB-01PHのパッケージに含まれるpH標準液用粉末試薬からpH標準液を調製する手順を説明します。
その他の試薬を使用する場合は、試薬添付の調製手順書に従って下さい。


pH標準液用試薬は,取扱説明書に従い正しく使用してください。
試薬の誤用,誤飲等を避けるため,適切な保管,管理を行なってください。
毒劇物ではありませんが,皮膚についたときは洗い流して下さい。万一目に入ったときは直ちに大量の水で洗い流して下さい。 必要に応じて医師の診断,処置を受けて下さい。
製品安全データシートを別途用意しております。必要な場合は当社へご請求下さい。


(1).
準備

以下のものを準備して下さい。

- pH標準液用粉末試薬(500mL用) 1袋
- 純水(*1) 500mL
- 密閉容器(500mL用)(*2) 1個

*1
蒸留水または電気伝導率2uS/cm以下@25℃(0.5MΩ・cm以上@25℃)のイオン交換水を純水として下さい。
ほう酸塩pH標準液および炭酸塩pH標準液の場合は、特に二酸化炭素を除去したものを使用して下さい。

*2
硬質ガラス、またはポリエチレン製の容器をご使用下さい。


(2).
溶解・攪拌

容器に純水500mLを入れ,pH標準液用粉末試薬を1袋入れて下さい。
粉末試薬がほとんど溶けるまでよく攪拌します。約10分間で溶けますが,低温時は多少長くなります。



(1)
純水500ml
(2)
粉末試薬
(3).
保管

保管する際は容器を密閉して下さい。
長期間保存した標準液は正確なpH値を示さなくなる事がありますので、お早めにご使用下さい。




  2点校正の手順

(1).
被測定溶液の予想されるpH値を挟む2種類の標準液と、電極洗浄用の水(純水または水道水)をビーカーなどに準備します。
(標準液は常に未使用のものを用意して下さい。使用済みの標準液は正確なpH値を示さない事があります。)

一般的には次の標準液を用意します。但し、pH9.18とpH10.01の組み合わせはサポートしていません。

- 酸性溶液の測定
pH4.01 と pH6.86 のpH標準液
- アルカリ性溶液の測定
pH6.86 と pH9.18 のpH標準液

より正確な校正を行うため、標準液は被測定溶液の温度に近い温度に加熱/冷却して、温度を一定に保って下さい。
但し、標準液の温度は-5.0〜+100.0℃の範囲を超えないようにして下さい。
(炭酸塩pH標準液については-5.0〜+55.0℃)

pH標準液の調製


(2).
電極が,被測定溶液または清水に30分以上浸っていたことを確認してください。
汚れているときは,清水で十分に洗い流してください。


(3).
[モジュール]ダイアログの[電極]ボタンをクリックし、[標準液校正ウイザード]を起動します。
または、[モジュール]ダイアログの[設定]ボタンから「オプション」ダイアログを開き、 「標準液校正」タブの[標準液校正の開始]ボタンをクリックしても[標準液校正ウイザード]を開くことが出来ます。




(4).
使用する標準液を[標準液A]および[標準液B]のプルダウン・リストから選択し(順不同可)、[OK]ボタンのクリックで確定します。


(5).
標準液に電極を浸し、[OK]ボタンをクリックすると測定が開始されます。
A/Bどちらの標準液を先に測定しても構いません。(測定モジュールが標準液の種類を自動判別します。)

測定には数十秒〜数分の時間を要します。
[Cancel]ボタンをクリックすると、校正は中断されます。

また、測定中は校正エラーが発生する場合があります。

校正エラー


(6).
1回目の測定が終了すると、[測定値]に「NEXT」の表示が現れます。
電極を洗浄用水で濯ぎ、もう一方の標準液に移し換えたら、[OK]ボタンをクリックして2回目の測定を開始します。


(7).
2回目の測定が終了すると完了メッセージが表示され、「pH7の起電力」と「pH当たりの起電力」が自動的に計算されます。


(8).
[OK]ボタンをクリックするとウイザードが閉じ、通常測定が再開されます。
校正の結果を確認するには、[モジュール]ダイアログの設定ボタンから「オプション」ダイアログを開き、 「標準液校正」タブを参照して下さい。

電極を被測定溶液に移すときは、洗浄用水で電極を濯いで下さい。







  1点校正の手順

(1).
被測定溶液の予想されるpH値に近い標準液を用意します。
(標準液は常に未使用のものを用意して下さい。使用済みの標準液は正確なpH値を示さない事があります。)

より正確な校正を行うため、標準液は被測定溶液の温度に近い温度に加熱/冷却して、温度を一定に保って下さい。
但し、標準液の温度は-5.0〜+100.0℃の範囲を超えないようにして下さい。
(炭酸塩pH標準液については-5.0〜+55.0℃)

pH標準液の調製


(2).
電極が,被測定溶液または清水に30分以上浸っていたことを確認してください。
汚れているときは,清水で十分に洗い流してください。


(3).
[モジュール]ダイアログの[電極]ボタンをクリックし、[標準液校正ウイザード]を起動します。
または、[モジュール]ダイアログの設定ボタンから[オプション]ダイアログを開き、 「標準液校正」タブの[標準液校正の開始]ボタンをクリックしても[標準液校正ウイザード]を開くことが出来ます。




(4).
使用する標準液を[標準液A]のリストから選択します。
また、[標準液B]のリストからは「No Solution」を選択して、[OK]ボタンのクリックで確定します。


(5).
標準液に電極を浸し、[OK]ボタンをクリックすると測定が開始されます。

測定には数十秒〜数分の時間を要します。
[Cancel]ボタンをクリックすると、校正は中断されます。

また、測定中は校正エラーが発生する場合があります。

校正エラー


(6).
測定が終了すると完了メッセージが表示され、「pH7の起電力」が自動的に計算されます。

(7).
[OK]ボタンをクリックするとウイザードが閉じ、通常測定が再開されます。
校正の結果を確認するには、[モジュール]ダイアログの設定ボタンから「オプション」ダイアログを開き、 「標準液校正」タブを参照して下さい。

電極を被測定溶液に移すときは、洗浄用水で電極を濯いで下さい。







  校正エラー

[標準液校正ウィザード]において校正が失敗すると以下のエラーが発生します。

校正エラー:0001
メッセージ
"「pH7の起電力」が校正範囲を超えました。"
内容
校正の結果、「pH7の起電力」が-90.00〜+90.00mVの範囲を超えた。
原因と対処
 1 
[原因] 電極と変換器の接続不良
[対処] 電極と変換器の接続確認
 2 
[原因] 電極(ガラス薄膜、液絡部)の汚れ
[対処] 電極の洗浄
 3 
[原因] 標準液のpH値異常
[対処] 標準液の交換
 4 
[原因] 電極の不良
[対処] 電極の交換

校正エラー:0002
メッセージ
"「pH当たりの起電力」が校正範囲を超えました。"
内容
校正の結果、「pH当たりの起電力」が47.3〜63.0mV/pHの範囲を超えた。
原因と対処
校正エラー:0001と同じ

校正エラー:0003
メッセージ
"「pH7の起電力」及び「pH当たりの起電力」の両方が校正範囲を超えました。"
内容
校正エラー:0001/0002が同時に発生した。
原因と対処
校正エラー:0001/0002と同じ

校正エラー:0004
メッセージ
"標準液の溶液温度が規格外です。"
内容
標準液の溶液温度が-5.0〜+100.0℃の範囲を超えている。
(炭酸塩pH標準液については-5.0〜+55.0℃)
原因と対処
標準液の溶液温度が-5.0〜+100.0℃の範囲を超えているので調整する。
(炭酸塩pH標準液については-5.0〜+55.0℃)

校正エラー:0005
メッセージ
"測定値が安定しません。"
内容
校正を開始してから5分経過しても測定値が安定しない。
原因と対処
 1 
[原因] 電極と変換器の接続不良
[対処] 電極と変換器の接続確認
 2 
[原因] 電極(ガラス薄膜、液絡部)の汚れ
[対処] 電極の洗浄
 3 
[原因] 溶液温度の変動
[対処] 溶液温度を安定させる。
 4 
[原因] 周囲に強いノイズの発生源(モータ,電磁弁等)がある。
[対処] ノイズの発生を抑える(遠ざける)